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東京ワーキングマザーログ

「Pachinko」- 異文化を語る難しさ

2017年の全米図書賞の最終候補となったベストセラーで、Apple社がTVドラマ化することでも話題の「Pachinko」を読んだ。どうやらまだ日本語に翻訳されたものは出版されてないみたいだけど、やはりこれは「在日韓国人」が主人公だからかしら。

作者は韓国系アメリカ人の女性。架空の韓国人一家の4世代に焦点を当て、20世紀初頭の日本統治下の釜山の生活から1933年の日本への移住、そして日本で戦前戦中戦後を生き抜き、20世紀の終わりに至るまでを、ドラマティックに書き上げている。

ヒストリカルフィクションとしては、興味深い題材だと思う。ストーリーの中心が女性で、移民生活や戦時下の生活で辛酸を舐めるなんて話は、あらゆる国のあらゆる戦争に関して書かれていて、一定の需要と人気がある。というか、私が好んで読むタイプのヒストリカルフィクション。これでもかというほどいろいろとイベントが盛り込まれていて、ストーリーとしては面白い。

だけど、第二次世界大戦の時代の韓国人たちの苦労や、在日韓国人が日本人社会で生きていく難しさなどが語られている部分は、日本人目線では居心地悪く感じる人も多いかも。あくまで架空の話、エンターテイメントとして、主人公たちの目線でストーリーを追うことができればいいけど、そういうふうに捉えきれない人には受け入れにくい気がする。

ただ、やっぱり異文化を語るって難しいよね。舞台のほとんどが日本(大阪)で、ところどころに日本語がアルファベット表記で散りばめられているんだけど、違和感のある言葉遣いや表記が数え切れないほどある。こんな中途半端なら全部英語のほうが読みやすいのに…とイライラするレベル。史実的にも、地理的な感覚でも、「あれ?」となる箇所が少なからずあった。たくさん調べて書いたんだとは思うんだけど、日本人のチェックは受けなかったのかな…?

そしてドラマ。いったい何語で制作されるのか。日本でも見られるのか。気になる…