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東京ワーキングマザーログ

「The Umbrella Academy」ー ある家族の物語

アメコミが原作のスーパーヒーローもの。だけど「スーパーヒーローが世界を救うために悪と戦う」正統派ではなく、どちらかというとスーパーヒーローの家族ドラマ(+世界を救う)。マーベルでもDCでもなく、ダークホースコミックス(「シンシティ」あたりが有名)とあって、世界観もなんだか新鮮。

始まりは1989年10月1日。前日まで妊娠すらしていなかった世界各地の43人の女性が突然、しかも同時に子供を産む。億万長者のハーグリーヴス卿はそのうち7人を探し出して養子にし、その中で特殊能力を持った6人を訓練。「アンブレラ・アカデミー」というスーパーヒーローチームを作りあげ、一世を風靡した。

それから十数年後、離散していたアンブレラ・アカデミーのメンバーたちは、ハーグリーヴス卿の死を知って集結。その葬式で急に時空が開き、タイムトラベルで失踪していたナンバーファイブが帰還する。それを機に奇妙なできごとが起こり始め、やがてアンブレラ・アカデミーはふたたび世界を救うために戦い始める。

…と書くとやっぱりヒーローものなんだけど、デジタル感がなく近未来感もない。一応ドラマでは2019年の設定なんだけど、服装とか街の様子とか、どこかダークでレトロで、それが逆にかっこいい。ハーグリーヴス邸の薄暗くてアンティークな感じとか、母親型ロボットの50年代なファッションとか、ダサめなドーナツショップとか、すごーく好み。音楽の使い方もストーリーとの絡め方がすごく上手くて、特に「One」がかかるシーンは、映画「マグノリア」を思い出してきゅんとなった。ワルキューレの騎行のシーン、ボーリング場のシーンは意表を突かれて笑った。ストーリー展開はちょっと無駄が多い感があるけど、こういう映像と音楽の組み合わせ、トータルでのドラマの世界観は私の好みにストライク。ああシーズン2も楽しみ。

しかしひとつだけイラっとしたのが「携帯電話」が一切出てこないこと。設定2019年なのにどうしてー!と思ってたら、原作は1977年が舞台だった。そういうことだったのね…

「アンブレラ・アカデミー」の演者の面々はヴァーニャ/ナンバー7を演じるエレン・ペイジ以外はわりとフレッシュな感じ。私はキャラクター的にはクラウス/ナンバー4が一番好きかな。あと、殺し屋チャチャを演じているのがR&B界のクイーン、メアリー・J・ブライジってのが私には衝撃だった。顔を見ると「Be Without You」が頭を流れるんですけど!女優を始めたなんて全然知らなかった。ほんと衝撃。

あ、でもこれ、家族ドラマです。機能不全に陥ったかつてのスーパーヒーローファミリーの再生の物語、プラス、人類の滅亡の阻止。だけどやっぱり家族なのよ。たとえ歪でも、そこには愛がある。