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東京ワーキングマザーログ

「The Americans」ー いまだからこそ新鮮な80年代ドラマ

正直、あまり期待してなかった。80年代、冷戦時代のアメリカでごく普通のアメリカ人夫婦になりすまして暗躍するロシア人スパイの話って言われても、なんか新鮮味がないというかピンとこないというか。でも、2010年代のベストTVシリーズとか、Rotten TomatoesでTomatometer 96%とか、あまりにあちこちで評価が高いから試しに観てみたら、あっという間にはまって一気に観てしまった。これはあれだ、80年代を覚えている世代向けだ。

多分、凄腕ハッカーや最新テクノロジーが不可能を可能にしまくる現代物に飽きていたんだよね。80年代のアナログさ、ローテクさ、不便さ。携帯もインターネットもない時代のスパイたちの、細かい仕込みや慎重な行動。ひとつひとつが手間ひま掛かってて、もはや芸術のレベル。時代背景やファッションへのノスタルジーもあって、なんかもうすべてが新鮮で、古めかしい。それがものすごくよい。

スパイ稼業と同時進行で描かれる、元々は本部の指示によるビジネス夫婦だった二人の夫婦関係の変化、子育てにおける葛藤、ティーンエイジャーの子供との関係に手を焼く様子など、ヒューマンドラマがリアルで深い。主人公2人以外のキャラクターやストーリーの作り込みも丁寧できっちり。最初から最後まで、シリアスで重いと言えば重いんだけど、その分見応えがすごい。評価が高いのも納得。そういえばこういうドラマ、最近他になかったよね。

エンディングもほろ苦いけれど秀逸。テクノロジーを消費するだけのドラマに飽きた人に全力でおすすめしたい。