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東京ワーキングマザーログ

「Fleabag」ー 皮肉と笑いの向こう側

ブリジット・ジョーンズって、シュガーコーティングされたファンタジーだったんだなーと改めて思った。まぁ、そっちは所謂ラブコメなので当然なんだけど、この「Fleabag」は、とあるイギリス人のアラサーダメ女のクズっぷりとシビアな現実をオブラートに一切包まずさらけ出してくる。ストレートな下ネタ満載なので苦手な人は要注意だけど、面白い。

Fleabagは直訳すると「蚤袋」、要は汚らしくて不快な人というような意味。もともとは一人芝居だったためかドラマでも主人公には名前がなく、タイトルの「Fleabag」が彼女のことを指すのだけど、まータイトルどおりに本当クズ。笑。性欲が旺盛な上に性的にだらしなく、始終セックスのことを考えているタイプ。のっけからガツンと下ネタ。そして時折ふっと彼女がこっちを向いて話しかけてくるんだけど、それがダークでシニカルでとにかく面白い。

しかし、下ネタや自虐的な笑いの一方で描かれるのは、Fleabagのハードな現実。一緒にカフェを始めた親友に死なれ、カフェは金策も尽きて破産寸前。彼氏には愛想を尽かされ、他の男たちもろくでなし。家族関係も複雑で、神経質なキャリアウーマンの姉との関係はぎこちなく、無神経で不愉快な継母に支配されている父親は助けてくれない。ドラマは面白おかしく進行していくものの、ドライで辛辣な笑いの合間に見え隠れするFleabagの孤独感と八方塞がり感が痛い。時おりフラッシュバックで挟まれる、死んだ親友との思い出のシーンだけが温かくて、それが余計にFleabagが抱える孤独を際立たせてる。ていうか、どのキャラクターも漏れなくクズ(死んだ親友除く) って何なの。いやこれが現実なのか。

そして迎えた最終話では、伏線が回収されてガツンと来る。5話目までとは着地点が全然違って、いい意味で裏切られたわ。しかし、まったく期待せずに観た「Fleabag」が予想外のストライクだったせいで、その後興味を持てるドラマがなかなか見つからない… 笑。ミニシアター系映画が好きな人におすすめです(多分)。